2010年度事業報告
2010年度の諸事業は、財団法人朝日新聞文化財団第36回評議員会及び理事会で可決、承認された事業計画を順次実施した。
助成事業・顕彰関係
芸術活動助成
（財団法人朝日新聞文化財団 寄附行為第5条１及び2の事業）
2010年度の芸術活動助成事業は平成22年3月17日と29日、及び10月（持ち回り）に開いた助成分野選考委員会で選考した。応募は1年間に319件あり、その内訳は一般の音楽103件、一般の美術87件、若手の音楽56件、若手の美術73件と、1992年に財団が発足して助成を開始して以来、最多となった。
応募の中から、一般の音楽51件、一般の美術40件、若手の音楽24件、若手の美術30件の合計145件の事業に総額2783.2万円を助成することにした。各事業ともほぼ申請書通りに行われ、主催者から実施報告書が提出された。
しかし、2011年3月11日に起きた東日本大震災によって、3月に公演の実施を予定していた3件の助成事業が中止となり、助成額は2653万円になった。
文化財保護助成
（財団法人朝日新聞文化財団 寄附行為第5条3の事業）
文化財保護に対する2010年度助成事業は2009年9月26日に開かれた選考委員会で、「国宝鳥獣人物戯画保存修理」など23件を選び、年度内に実施された16事業に計3184万円を助成しました。また、2009年度に選考された助成事業30件のうち、2010年度までに14事業が終了しました。
- 国宝 紙本墨画鳥獣人物戯画 4巻 保存修理事業（京都 高山寺）
- 神戸市指定有形民俗文化財「弁財船絵馬」保存修理事業（敏馬神社）
- 重要文化財民家を巡る特別公開と講演会―地域文化の保存･継承を考える―
（ NPO 全国重文民家の集い） - 与路島珊瑚石垣景観の復元及び補修（与路島珊瑚石垣等史跡環境保護組合）
- 絹本着色実如影像保存修復事業（大阪市 定専坊）
- 懐徳堂文庫「帰馬放牛図」修復事業（大阪大学附属図書館）
- 勝鬘院塔婆内陣のうち（A)丸柱4本（B)板絵8面 保存修理事業（大阪市 勝鬘院）
- 南禅寺天授庵 長谷川等伯筆障壁画空間の復原
（東京藝術大学美術学部油画技法材料第二研究室） - 本庄早稲田駅周辺地区指定史跡等整備事業（埼玉県本庄市）
- 東京都慰霊堂保管･関東大震災関係資料の整理･保存・データベース化推進プロジェクト
（関東大震災資料調査会） - 国指定史跡根室半島チャシ跡群環境整備事業（根室市観光協会）
- 石造物復元製作事業（明日香村）
- 重要文化財 円鑑禅師･釈迦如来像 像内納入品 69巻 保存修理事業（京都市 永明院）
- 重要文化財｢京都府椿井大塚山古墳出土品」の保存修理（京都大学総合博物館）
- 水俣病史の象徴である作品の保存･修復及び展示拠点の整備
（財団法人 水俣病センター相思社） - 縄文漆製品の保全と活用（ NPO三内丸山縄文発信の会）
大阪国際フェスティバルの開催
（財団法人朝日新聞文化財団 寄付行為第5条4及び5の事業）
大阪フェスティバルホールの建て替えに伴い、2013年まで同ホールが使えないため、2010年度、大阪国際フェスティバル特別公演を5月から11月にかけて、大阪、兵庫で計3回開催した。
朝日賞の贈呈
（財団法人朝日新聞文化財団 寄付行為第5条6の事業）
2010年度の朝日賞は、下記の3氏1団体に贈呈した。
- 池澤 夏樹氏（65） 作家
世界的視野に基づく創作・評論活動と文学全集の編集 - 原田 正純氏（76） 医師
水俣病研究を通した学際的な「水俣学」の提唱と深化 - 細野 秀雄氏（57） 東京工業大フロンティア研究センター教授
透明酸化物半導体・金属の創出 - 探査機「はやぶさ」プロジェクトチーム
産官学の協力による世界初の小惑星探査往復飛行
チーム代表・川口淳一郎氏（55） 宇宙航空研究開発機構教授
産業界代表・萩野 慎二氏（51） ＮＥＣ宇宙システム事業部シニアマネージャー
学術界代表・土屋 和雄氏（67） 京都大名誉教授
受賞者の業績と横顔は2011年1月1日の朝日新聞に掲載された。
また贈呈式と祝賀パーティーが2011年1月27日、東京・日比谷の帝国ホテルで開かれた。贈呈式では、秋山耿太郎理事長から、受賞した3氏1団体に正賞のブロンズ像（彫刻家で1988年度朝日賞受賞者、佐藤忠良氏の作品「陽」)と副賞500万円が贈られた。各受賞者はこの後、ステージで受賞の喜びを語った。
設立登記を行った。